音楽家として生きる道③
少し話は戻りますが、【コラム04】で、「収入面で本当に成功したければ、音楽家や音楽ビジネスを個人で始める方がいい」と書きました。ちまたでは、サラリーマンにとって年収1,000万円はひとつの大きな目標だけど、そんなサラリーマンが100人(合計10億円!)束になってもかなわない舞台、それが音楽の世界だからです。
ただ問題がふたつだけあります。ひとつはわかりますよね。「レディー・ガガのような有名アーティストや著名演奏家は存在しても、それに自分はなれない」ということ。さすがの音大生も、世界的アーティストになれる、とまで思っている人は少ないようです。
ではどう思っているか?
「卒業してとりあえず、アルバイトで生活費を稼ぎながら演奏活動を続けよう」
これですよ、大体。ここでふたつ目の問題が出てきます。一般就職すると、最低250万円くらいは年収の保証があるわけですが、この場合それがなく、下手すりゃ「年収最悪ゼロ」という問題です。みんな若いから何とかなる、と思っているじゃないですか。周りもそうだし。でもね、これが意外と何とかならない。
丁度今、コロナでそれがわかりやすくなっています。テレビを見ていると、公園などでボランティアが炊き出しをやって、生活難の人の支援をしていますが、支援される側には30代くらいの人も多く混ざっています。なぜかといえば、正社員は雇用(雇い続けること)が守られても、多くの場合、アルバイトや契約社員までは守られていないからです。大企業でさえそうなのですから、余裕のない中小企業はなおさらのこと。それを知らずに、この道に進むと「しまった!」と、後の祭りになりかねません。
実家に資産が100億円あって、働く必要がない人や、決まったパートナーがいて、「おカネはあるから、好きなことしていいよ」と言われている人などは問題ないでしょう。実家が事業をやっていて、将来それを継ぐ人なんかも大丈夫かな。では、オレ(私)は違う、という人はどうしたらいいか? 次回はそんな話をしたいと思います。