アノマリー
前回、8月は相場の世界では「荒れる月」として有名、と書きました。日経平均株価は8月2日に2,000円近く、5日に4,700円以上下げたかと思ったら、翌6日は3,000円以上の値上がりです。その後も千円単位での荒れた展開が続いています。いくら荒れるとはいえ、これほどの荒れ方は、とても珍しい現象です。このように株式市場とか外国為替市場は、一見合理的に動いているように見えますが、じつは論理的に説明できないけれど、なぜか繰り返し起こるという現象がいくつもあります。このような現象のことを「アノマリー(変異性)」と呼んでいます。

株式の世界ではそれらのアノマリーが格言になっています。例えば、「月曜ボケ」といえば月曜というだけで相場に活気がなく理由もなく値下がりする傾向があること、「節分天井彼岸底」は2月上旬の節分あたりに相場は天井(高値)をつけ、3月後半のお彼岸の頃底(安値)をつける傾向があることを示しています。またアメリカでは今年大統領選挙がありますが、「大統領選挙の年の株は買い」と言います。今回も今のところその通りになっています。
このアノマリーからわかる教訓は、世の中は必ずしも合理的な理由で動くとは限らない、ということです。「理屈はわからないけれど、こういう傾向がある」という見方は、根拠がないと批判されがちですが、あながち的を外しているとは言えない、ということがままあります。
そう考えると、音楽の世界はアノマリーだらけではないでしょうか。「なぜかわからないけど、ヒットしている曲や人」が数多く存在しますからね。それらについて、「なぜヒット(成功)するのか」と理屈から考えるのではなく、ヒットなり成功なりしている人や作品を集めて、それらの持つ傾向を見出すことの方が有効かもしれません。
アノマリーがなぜ起こるのかは今の科学ではわかっていません。でもアノマリーの存在を認め、それをうまく活用することが成功を手にする道かもしれないことは、意識しておいて損はないと思います。