音大生応援団長の進路指導
連載85

夏の思い出

8月に入りました。今年は7月初めから暑い日が続き、「暑さはもういいよ」という感じですが、まだまだ先は長そうです。若いころ、夏が大好きだった私ですが、地球温暖化の影響か「夏=耐える」という季節になってしまったのは正直残念な思いです。

猛暑

みなさんは驚かれるかもしれませんが、20年くらい前までは35度以上になる日は稀でした。今は「猛暑日」という単語が普通に使われていますが、この単語が気象庁で使われるようになったのは2007年4月1日のことです。それまでは1933年に記録した山形市の40.8度が長く暑さNO.1の記録で、私も小さい頃そう覚えさせられました。それが2007年8月に岐阜県多治見市で40.9度を記録し追い抜いたのです。その後40度台がたびたび記録されるようになり、今は2018年の熊谷市、2020年の浜松市で記録した41.1度が最高記録とされています。ただ今年はかなりの暑さですから、もしかするとこの記録も、今年塗り替えられるかもしれません。

株式相場は大暴落 そんな8月。暑さばかりではなく、じつは相場の世界では「荒れる月」として有名です。私の記憶で一番印象的なのは、1990年8月2日のイラクによるクェート侵攻。まだ若手だった私は、外国為替や債券取引を行う銀行のディーリングルームでニュースがあると読んで叫ぶ係でした。債券相場が急落しているため、何かあったはずだと、当時外国為替にしかなかった情報端末を見に行きました。そこに「Iraq troop invade Kuwait.」と書かれており、コピーを取って急いで戻り、「イラク トループ インバッド クワット」とたどたどしく読み上げました。『「イラクトゥループ インベイド クェート」だ! なんで早く言わないんだ』『バカヤロー』『豆腐の角に頭ぶつけて死ね』と大バッシングを受けました。英語が大嫌いになった瞬間です。翌91年の8月もソ連ゴルバチョフ大統領拉致事件があり、株式相場は大暴落しています。

教職課程を取得するためと思しき学生が弾く『夏の思い出』を聴きながら、そんなほろ苦い夏の思い出を記憶の片隅から呼び覚ました8月2日の株式大暴落。今回もまた、8月が世界経済の大きな転換点となるのかもしれません。

音大生の応援団長、大内孝夫 profile

音大生の応援団長、大内孝夫 元メガバンク支店長(慶応義塾大学経済学部卒)。
音大に転職し、音大生のすばらしさに感動!『「音大卒」は武器になる』を執筆、ベストセラーに。企業就職のみならず、演奏家、音楽教室などを志すすべての音大生にエールを送る。2020年より名古屋芸術大学教授、全日本ピアノ指導者協会キャリア支援室長。他の著作として『「音大卒」の戦い方』(ヤマハミュージックメディア)、『大学就職課発!! 目からウロコの就活術』『「音楽教室の経営」塾』①、②巻(ともに音楽之友社)、『そうだ!音楽教室に行こう』(音楽之友社)など。

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次回の掲載は2024年8月25日ごろを予定しております! ぜひお楽しみに!

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