夏の思い出
8月に入りました。今年は7月初めから暑い日が続き、「暑さはもういいよ」という感じですが、まだまだ先は長そうです。若いころ、夏が大好きだった私ですが、地球温暖化の影響か「夏=耐える」という季節になってしまったのは正直残念な思いです。

みなさんは驚かれるかもしれませんが、20年くらい前までは35度以上になる日は稀でした。今は「猛暑日」という単語が普通に使われていますが、この単語が気象庁で使われるようになったのは2007年4月1日のことです。それまでは1933年に記録した山形市の40.8度が長く暑さNO.1の記録で、私も小さい頃そう覚えさせられました。それが2007年8月に岐阜県多治見市で40.9度を記録し追い抜いたのです。その後40度台がたびたび記録されるようになり、今は2018年の熊谷市、2020年の浜松市で記録した41.1度が最高記録とされています。ただ今年はかなりの暑さですから、もしかするとこの記録も、今年塗り替えられるかもしれません。
そんな8月。暑さばかりではなく、じつは相場の世界では「荒れる月」として有名です。私の記憶で一番印象的なのは、1990年8月2日のイラクによるクェート侵攻。まだ若手だった私は、外国為替や債券取引を行う銀行のディーリングルームでニュースがあると読んで叫ぶ係でした。債券相場が急落しているため、何かあったはずだと、当時外国為替にしかなかった情報端末を見に行きました。そこに「Iraq troop invade Kuwait.」と書かれており、コピーを取って急いで戻り、「イラク トループ インバッド クワット」とたどたどしく読み上げました。『「イラクトゥループ インベイド クェート」だ! なんで早く言わないんだ』『バカヤロー』『豆腐の角に頭ぶつけて死ね』と大バッシングを受けました。英語が大嫌いになった瞬間です。翌91年の8月もソ連ゴルバチョフ大統領拉致事件があり、株式相場は大暴落しています。
教職課程を取得するためと思しき学生が弾く『夏の思い出』を聴きながら、そんなほろ苦い夏の思い出を記憶の片隅から呼び覚ました8月2日の株式大暴落。今回もまた、8月が世界経済の大きな転換点となるのかもしれません。