選挙に行こう! ②
前回、留学生の方から「東アジアには、まだまだ女性の権利のみならず選挙権すら与えられていない国が多くある」との指摘を受けた話をしました。そうだとは思っていましたが、そのことをあまりに意識していなかった自分に気付き、とても衝撃を受けました。どうも時間軸(歴史)ばかりに目が行ってしまい、現在の世界を横断的に見る視点が欠けていたと大いに反省させられました。
そこで調べてみると、世界的には民主主義陣営は広がるどころかかなり後退しているようです。スウェーデンの独立調査機関V-Dem研究所によれば、2023年は世界の民主主義の度合いが1985年以来の低水準になったとのこと。権威主義化が進んだ国・地域が42に対し、民主化が進んだ国は18のみ。世界地図はオセロのように権威主義に塗り替えられています。
この調査機関の特徴は、国や地域の統治形態を民主化が進んでいる順に自由民主主義国家、選挙民主主義国家、選挙独裁国家、閉鎖独裁国家の4つに区分していることです。前者2つが民主主義陣営、後者2つが権威主義陣営とすると、民主主義陣営91に対し、権威主義陣営は88の国と地域。両者が拮抗しているのがわかります。さらに人口比では3:7で、権威主義国の人口が圧倒しています。またアジアでは、インドネシアやお隣の韓国まで権威主義化が進んでいると報告されています。これが世界の現実で、私たちが思っているほど民主主義は一般的ではありません。そうした中にあって、日本は民主主義陣営の中でも最も進んだ自由民主主義国家に属しています。これを当たり前のことだと思っていると、思わぬしっぺ返しを受けそうです。その大切な民主主義の権利を、私たちは粗末に扱っていないか、よく胸に手を当てて考える必要があります。

投票率は残念ながら若い世代に低い傾向があります。選挙権を求めて戦った人々、そして現代でもその権利を求めて戦っている人々が世界中にいることに思いを致し、是非選挙に行きましょう!