大切なのは基本、
そして緊張感を失わずに
ピアニスト 斎藤雅広さんからの音大生にエール!は今回が最終回です!
こんなコロナ禍の最中に学生生活のガイドになるような連載をするとは、全く思ってもいませんでしたが、逆にコロナだからこそ頼まれた連載だったのかな?就活にしても悩まれている人も多いはずですし。いずれにしましても最終回を迎えました。
ところでこの疫病との事件は、ある時期で元に戻るというのではなく、また終息したとしても世の中は変わってしまうと思うのです。つまり皆さんはその意味で第1世代の人になると言えますね、つまり誰もが未経験の世界にこれから進んでいくということです。大変だ!と考えればその通りですが、新しく切り拓けるチャンスと思えば、今まで不可能だと思われていたことも実現できることになります。皆さんこそは選ばれた世代だということです。このことに是非大きな誇りを持って下さい。
私が皆さんと同じように若かったらどうしたでしょう?私は1にも2にも演奏家志望でした。オンラインのレッスンを受け、それを海外の先生たちにもつなげるでしょう。やはり自分の演奏をネットで配信すると思います。ピアノですから合わせ物も可能ですが、ここは自分のために不得意な技術を獲得することに重きを置き、なるべく自分の中から「知らないこと」がなくなりますように、そういう形で色々な音楽に接するでしょう。不自由なことは留学が出来ない、外来演奏家が当たり前に聴けないことですが、小さなチャンスを見逃さないように最大限の注意を払うでしょう。私たちが実際に生きた時代よりも、ずっと緊張感のある充実した日常ですね。
就活のほうは人脈と情報を大切にするのが基本ですが、演奏家志願の人もまた基本である「楽譜を読み込む力」を磨くことが大切だと思います。そうは言っても楽譜に関しては、こんなコロナで閉ざされた世界であっても、私たちの時代よりは容易に安価で手に入れることが出来ます。基本を大切にして、臆することなく新しい時代に羽ばたいてください。