試験シーズン到来
大学ではそろそろ試験のシーズンでしょうか?もちろん大学によって時期も形態も違うと思いますが、今年の実技試験は「大変そうだなあ」と感じます。オンラインでやるところもあると思いますが、オンラインでなくても、この1年間を閉塞された空間で音楽を奏でてきた学生さんにとって、試験での演奏というのはどんな意味があるのか?と考えさせられます。
演奏するということにとって、最も大事なのは自己主張と個性、そこから発生する開放的な自由さを持つ心です。この1年、おうちにこもって練習し続けたわけですから、開放的な自由さなど、なかなか現れては来ないでしょう。ましてや試験、先生たちからあら探しをされる場所ですから、萎縮してミスをしないようにするだけの演奏に終わる可能性も多い。プロもそうです。あるピアノの若者は図々しい感じではありましたが(笑)、でもミスをしないことだけを考えたように、フレージングには何の心も表情もない最悪の演奏をしていました。これは音楽の根本を見失っています。
クラシック音楽にはもう1つ「伝統の継承」という大きな課題があります。だからこそそこにたぎる熱い心があるのです、自分がどうして楽器を始めたか?最初に聴いて感動した演奏のこと。プロとして歳を重ねて行くほど、そうした熱い想いが、伝統の重みと共に必要になってきます。皆さんはいかがですか?情熱を失っていませんか?
先が見えない、来年もどうなるかわからない、こんな中で明るい気分を保て!と言うのも酷ですが、本来音楽家は「音楽バカ」と言われるような部分を持っています。どんなに辛いことがあっても、楽器を手にした途端に人が変わってノリノリになれますよね?この状況を打破するのはこうしたエネルギーです。試験なども妙に賢く冷静にならず、本来のバカに戻って思い切り演奏してみるのはいかがでしょうか?