魔がさす、その瞬間
皆さんこんにちは、ピアノの斎藤雅広です。
学生の皆さんのお助けになるための連載4回目です。
皆さんは演奏中に「魔がさした」経験ありますか?
ハラハラせずに思ったように、または勉強したようにいつも演奏できる人はスゴイ!
そんな人いるかな?のレベルですよ。
大抵は「あっ」と思った瞬間に何かが崩れて、後悔が残るような、そんな演奏をしてしまうものですね。これはかなり多くの人がそうなんですから、「失敗を恐れずに」等と他人は言いますが(笑)、本人にしてみればとても嫌なことです。
私はあえて「失敗」ではなく「魔がさす」と言いましたが、実はそれは悪いことばかりではなく、落ち着いて冷静に成功した演奏がとてもつまらなく聞こえていたり、才能がある人のほうが本番に何かを感じ暴走したりすることが多いからなんです。
もともと音楽には人を魅了する「魔」の部分がありますから、演奏もただの石頭の領域ではなく、不確実な魅力があってこその物だと言えます。
それでも本番で崩れないために「ありとあらゆることを想定して練習を重ねる」のはあたり前、オリンピック選手にも似ていますね。
ベストを出すためにそれは必要ですが、音楽的にはさらに「どんなつまらない状況でも、演奏する以上はその気になって演奏する」ということが大事かもしれません。
逆説的には「演奏は常にその場限り」なんだからいつも本気で、ノリノリで演奏していないと、肝心なときに力んで「魔がさす」ことが増えてしまいがちです。
そうは言っても人間、いつも楽しいわけではありません。コロナだし!そこを何とか楽しい気分でいたいものです。昔から「音楽バカ」という言葉がありますが、音楽しか出来ない「音楽バカ」ではなく、演奏した途端に人が変わってノリノリになってしまう「音楽バカ」!これが出来ないと演奏家の人生はキツイかもですね。